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それから、3ヶ月後――。
病院から出てくるマッキーを、ジェニファーと輝男が待ち構えていた。
「退院、おめでとうございます!」
ジェニファーが、満面の笑みでブンブンと手を握る。
「ほい。退院祝いや」
一足先に退院していた輝男が、マッキーに肉まんの紙袋を渡す。
「何で肉まんなのよ?」
「あれ? 入院中、『食べたい、食べたい』って言ってなかった?」
「言ったけど……。ありがとう」
この子たちったら……。
マッキーは、嬉しさを噛みしめ両手を広げる。
ジェニファーが胸に飛び込んできた。力強いハグが、マッキーの涙腺を緩める。
結局、ジェニファーの活躍で、涼介と後藤は逮捕された。
危なかった。もうちょっとで、海外に逃げられるところだった。
オカマの勘をナメるんじゃないわよ。
マッキーは、思う存分外の空気を吸い込んだ。
おいしい。自由だ。狭い病室と、マズすぎる病院食ともおさらばだ。胸ヤケするほど、塩タンを食べたい。あと、お寿司も。
「さあ、帰りましょう!」
ジェニファーが、腕を組んできた。もう片方の手は、輝男と手を繋ぐ。
「その前に、寄りたい所があるんやけど……」
輝男が言いにくそうに切り出した。
「どこよ?」
「……馬」
「競馬場?」
ジェニファーがムッとして、輝男の手を離す。
「ちゃうって! 場外馬券場やって!」
「一緒じゃないの! アンタ、ギャンブル止めるんじゃないの!」
「ギャンブルで生活するのは止めただけであって、趣味としてのギャンブルは……」
「マッキーさんも説教して下さいよ!」
プーッと頬を膨らませるジェニファーを見て、マッキーは笑った。
どうせなら、競馬場に行きたいわ。緑の芝の上を駆ける美しい馬たちの姿を見てみたい。
「これで決めようぜ」
輝男が、500円玉を取り出した。
「ダメよ! こっちのコインを使って!」
ジェニファーが、ジーンズのポケットから100円玉を取り出す。
「100円? 何か……味気ないなぁ……」
輝男が、不満丸出しの顔をした。
「何言ってんの! どうせ、100円のイカサマコインが無いだけでしょ! マッキーさん、お願いします!」
ジェニファーが、マッキーに100円玉を渡す。
やれやれ。この二人は、いつになったらヨリを戻すのかしら。
マッキーが、そっと右手の親指に100円玉を乗せた。
「裏」と輝男。
「じゃあ、アタシは表ね」とジェニファー。
アタシは……。
アタシはどっちでもいいわ。
マッキーが、力強く100円玉を弾いた。
100円玉は鋭く回転しながら空に舞い、太陽の光を受けてキラリと輝いた。
〈――悪夢のエレベーター第五章 ギャンブル・マンション編END――〉
