近所のバイク屋さんで空気を入れてもらうとき、
お金を取って欲しいといつも頼みます。
けれど、「空気は只だから」と笑って受け取られません。
私としても空気の相場が幾らぐらいするのか、実のところ見当もつかないため、
仕方なくそのまま頭を下げて帰ってきてしまいます。
しかしきのうは、「頼みにくくなるので払わして下さい」と強くお願いして
一歩も引きませんでした。
一歩も引きませんでしたが、依然として空気の相場が分かりません。
バイク屋さんは手を振るばかりで値段の提示をしてくださる気配もありません。
空気は幾らぐらいするものなのでしょう。
先日、夜にちょっとつける消すでもめて、電球の紐がちぎれました。
次の日ホームセンターに買いに行くと、1メートルの紐が188円でした。
その下の棚にあった換気扇の紐は、78円でした。
ひとつの基準として、電球の紐が188円であったことは、
空気の相場を考える上で、私に僅かな目安を与えてくれました。
電球の紐も空気も、ないと困るという点で重大な存在でした。
あっても気にならない、という点では更に重要な位置づけにありました。
ほとんど忘れている、という点においても忘れがたい存在でありました。
見える電球の紐が188円であるならば、
見えざる紐であるところの空気には、1と無限大をあらわす「∞」をつけて、
100円とするのが確からしさに肉薄したぎりぎりの値段であろうと思われました。
小銭入れから穴のない銀色の硬貨を一枚取り出しました。
一瞬身を引いたバイク屋さんに一歩だけ詰め寄って、
確かに受け取ってもらいました。
心から安堵しました。
空気の相場は、100円ということでよろしいかと存じます。