もとは、Melinda Juliettaさんの書いたお話しです。
第一部
あつい夏の午後でした。オオカミの子供たちが 2匹、
日向で 寝ていました。カラスがパタパタと 音をたてて
枝にとまったので、そのチビッコたちが 目を覚ましました。
カラスとオオカミの子たちは、目を見開いて 見つめ合いました。
そのとき 母さんオオカミが 子供たちを呼んで 言いました。
「これからみんなと 狩に行くのよ。 お前たちは
ウルフじいさんと お留守番ですよ。」
チビッコたちは 口々に 言いました。
「いやだよ! ぼくだって 行きたいよ! ぼくたちは もう
大きいよ。走るのも 速いし、じっと静かにしていることだって
できるよ!」
母さんは 微笑んで言いました。
「お前たちは 大きくて 勇敢だよ。それに 走るのも
速いし、静かにしていることも できる。でも お前たちには、
ウルフじいさんが 困らないように そばに付いていて ほしいの。」
チビッコたちは、ため息を つきました...
それでも 母さんが 鼻をこすりつけて 足をやさしく なめて
くれたので 気を 取り直しました。
ほかのオオカミたちも、チビッコたちに 鼻先をくっつけて
あいさつしました。それから 狩の群れに 加わりました。
チビッコたちは、 みんなが 森の中に 消えてゆくまで
見送りました。
チビッコたちは、丘の上で みんなの方を 見ていました。
ウルフじいさんには、チビッコ たちが さびしがっているのが
よく分かりました。じいさんは 鳥の羽を 一枚拾って、
チビッコたちの前を 走り抜けました。
「見てごらん! これは 特別な羽だ。大きくて 足の
速いオオカミだけが 持つことができるのだ!」
そう言うと はずむように 走って行きました。
チビッコ たちは ウルフじいさんを 追いかけながら
声を上げました。
「 ぼくにも ちょうだい、ちょうだいよ! ぼくだって 大きくて
足が速いよ! そうだよ!ほんとだよ!」
チビッコたちは ウルフじいさんに 追いつくと しっぽを ひっぱり、
じいさんの上を ころころ 転がりまた。笑いながら
おきあがると 言いました。
「ぼくたちの方が 速く走れるでしょ、ウルフじいさん!」
ウルフじいさんが 答えます。
「お前たちは もうおとなだと 思っているだろうが、わしは
お前たちよりも 長く生きてきたし知恵もある。さあ 歩こう。
いろいろ 教えてやろう。」
少し走ると、 ウルフじいさんが立ち止まるように 言いました。
チビッコたちは じいさんの そばに 立ち尽くしました。
「見てごらん。」
「どこ? ウルフじいさん、どこなの?」
「どこもかしこもだ。」
ウルフじいさんが やさしく 言いました。
2匹は まわりを見渡し、いろいろなものを 見ました。
木々や鳥たち、そして風にそよぐ草たち。
「見て、見て! 黄色いちょうちょが いるよ! それから
あそこ――あの葉っぱは ひらひらしていて、オオカミが
自分の尾っぽを 追いかけている みたいだよ。」
ウルフじいさんはうなずきました。
「分かったかい、子供たち。この世界は見るものでいっぱいだ。
だから 目を見開いてしっかり見るんだ。
それが オオカミというものなんじゃ。」
「 オオカミは、ものを良く見るもの。」